12月のエオルゼア
久しぶりにリッカさんがログインをした。といっても1週間くらいだが。それでもリッカさんのいないエオルゼアはどこか大切な色を失ったようで、普段は気にならない天気ばかり気になって、ああ、また雨かと胸が塞がるような日々だった。 「元気してた?」 「…
部屋の明かりを付けようとスイッチを押すが、点かない。何度か押してみたがやはり点かない。洗面所の明かりは点いた。すぐに消した。光が目に残って何も見えなくなる。仕事用のカバンを無造作に投げ出してベットに倒れ込む。 「電球買いに行かなきゃ」 口か…
私はいまとても緊張している。なぜなら私はいまとても緊張しているからだ。 何を言っているのか自分でも分かっていない。リッカさんと一緒に話を進めてきたイベントがまもなく開催されるのだ。一緒にと言っても私はリッカさんの案をまとめて整理してるだけの…
おかしい。連絡がない。人に心配をさせないようにすぐにでもスマホを買い替えにいく。河野莉子はそういう人間だ。しかし週末を迎えようというのにあれから音信不通だ。試しに電話をかけてみるが、コール音すらならない。 「やっぱり壊れたままか」 「え? 課…
パソコンが壊れた。8年、いや、7年かな、いずれにしても寿命といえば納得する期間使っていた。ただ、そんなに頻繁に使っていたかというとそうではなかった。学生時代には課題等の為によく使ったものだが、いざ就職してからは会社のパソコンで十分間に合っ…
東京はあいにくの雨、夏のほとぼりを冷ますかのように。今夜は一段と冷える。 「お嬢さん、傘差さないんですか? 風邪ひきますよ」 「ええ、これを差すくらいなら風邪を引いた方がマシです」 「よければ私の傘に入ってください」 「お気遣いありがとうござい…